我ながら埒もないと思う作文よりも、作者本人の文章のほうが読んでいただけると思い、近頃よく頼んでいる。彼はこんな文章を送って下さった。
「去年二人目の子が産まれまして、女なんですが、それがまあ可愛いです。これまで家族のために、なんて思いを持ったことがなかった私ですが、この子に認められたいという思いが自然と湧いてきます。そんなふうに思える人というか存在がまた一人増えたような気がします。やる気を出すには十分です」。
多分にプライベート色の濃い文章だったが、最近の彼の表情のちょっとした変化を見てさもありなんと思った。人はおのれ一人のためのみに生きることはできない。それではただ生きているだけということになってしまい緩慢に腐ってゆく。昔から人一人なるはよからずという。人はそれほど強くない。人のために生きる…。古色蒼然たる道徳律のようだが、それが徳行として行為されるとき、大きく善へと向かっているのだと思う。人生の価値とか、いかに生きるべきかといった訳のわからないことで悩むことも減るのだろう。また話が大仰になってきたが、彼はそのための人生の宝ものを得たのである。
三度目の小坂大毅展でございます。彼も三十半ばを越え、いよいよ実りの秋(とき)を迎えようとしているように窺えます。何卒のご清鑑を伏してお願い申し上げます。-葎-
1988 京都生まれ
2010 京都造形芸術大学卒(現京都芸術大学)
2013 京都市に築窯
2018 日本陶磁協会奨励賞関西展 奨励賞